練習箇所
・Magnificat(BuxWV Anhang1)
記事
全体発声:34分
★Magnificat(BuxWV Anhang1)
《第2楽章》
・38小節~(アルト):楽譜から解放されて前向きに歌う。”ancillae”の”-ci-“の発音注意。
・47小節(テノール、バス):”ecce”の発音注意。裏声を活かして3度をハモらせる。バスはDの音をずりあげない。
・86小節~(アルト、テノール):力ずくで歌わない。88小節1拍目の5度は倍音豊かな音でハモらせる。”progenies”の語尾”-es”は押し出さない,。
《第4楽章》
・124小節~(アルト、テノール):”Fecit”は輝かし音で(神が腕力を行使する場面に相応しい音)。休符のメリハリをしっかり。
※補足※ fecitはラテン語facio/行うの三人称単数完了形です。ラテン語には過去を表す時制が未完了形と完了形の2種類あり、前者は時間の経過の中で必然的に生じた事を言いあらわし、後者は時間の流れに割り込む様に突然に生じた事をあらわします。完了形fecitはマリアが予期していなかった事、即ち「神が他でもない端女(humiles)を引き上げられた(exaltavit/これも完了形)事」を目の当たりにして、クレージーキャッツのハナ肇が嘗てシャボン玉ホリデーで使ったギャグの様に、「アッと驚く為五郎」という状態になった事を言外に表すものです。従ってこの箇所は、天上から注がれた神の光に照らされたマリアの様に、感動を込めて輝く様に歌う事を意図して非常に高い音が当てられています。
・143小節~(アルト、テノール):”potentes”の発音はブツブツにしない。”humiles”は締め付けた音は出さない、喉を開く。アルトは155小節のHの音が低くならない。
・156小節~(バス):”esurientes”の”-ri-“の音が遅れる。”dimisit”の”s”は濁音。173小節では前半D-Cis-Dで一旦納めて、改めて次のA-D-Fisを始める。
・196小節(下3声):冒頭のD-Fis-Aはニ長調の主和音であるが、DとFisが1オクターブ以上離れていてハモらせるのが難しい。このような場合は、テノールとアルトとがFisとAとをハモらせる。すると、側帯波が発生して離間した音を埋め合わせる。バスは裏声に近い声で倍音を発生させて、上記埋め合わせされた音とハモらせる。
※補足※ 冒頭のニ長調の主和音に於いて、バスのdの周波数をfとすればテノールとアルトのfisとaの周波数はそれぞれ2.5fと3fになります。二種類の周波数の音が重なるときには、側帯波として各周波数の差分に対応する周波数の音とその倍音か発生します。即ち0.5fの音とその倍音です。0,5fの音はバスの音の1オクターブ低いdになります。この場合、三倍音はバスとテノールの間にあるaになり、離間した音を埋め合わせる役割を果たします。倍音aを豊かにするためには、テノールとアルトは裏声に近い声で倍音を発生させる必要があり、ハモらせるためには、バスも倍音発生が必要です。
《第6楽章》
・233小節~(アルト):楽譜から解放されて外に向かって歌う。
・277小節(テノール):”sicut”は上から 下にかぶせるように。”principio”は滑らかに。